田邊屋薪炭店 元町

田辺屋薪炭店
薪炭及石炭商
元町1丁目11番地
田邊家は横浜の旧家で万延元年(1860)にこの地に移転してきた、慶応元年(1865)に薪炭店を開業した
明治の横浜写真手彩色絵葉書

薪炭及石炭商 田邊源蔵「田邊屋薪炭店主田邊源蔵君天資風流にして博物の嗜好あり、或は植物を培養し或は見介を採取し、煙霞の癖は移に全國の漫遊を企てしめ、名山大川其の足跡を印せざるの處なし、我國東山時代より螺鈿の漆法盛んに行はれ、武器粧具に之れを利用せしが頗る単調にして未だ彫刻に資せしを見ず、君嘗て伊國製の彫刻を見て大に感ずる處あり、水産講習所及諸大家を歴訪し、百方苦心四十一年二月に至りて漸く理想に近かき彫刻品を製出するを得たり、二十年前化学的薬物を以て石決明、鳥貝等に模様を鏤りしものなきにあらざるも、真珠の色彩徒らに褪せて些の光澤を止めず、君の研究は天然の光澤を活用して花卉蟲魚の天真に擬せんとするにあり、是れにて十分の成功を遂ぐるに至らば、優に伊國製を排斥して世界の流行社會に一大變潮を來すや必せり、君の家は元横濱土着にし萬延元年今の地に移輾を命ぜられしもの、薪炭商は慶應元年の創業なるが、時勢の進運は静止を肯ぜず、豆相地方より盛んに廻送し來り、目下同業者六百有餘名の中嶄然巨商を以て目せらる、叉永く學務委員の職にあり、其の任を全ふせし功労を多とし銀杯の贈與を受けしことありといふ、君は實に明治五年を以て生る、」横浜成功名誉鑑



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