阿部蚕糸貿易商店 本町

横浜商品日報
阿部合名会社 横浜支店
蠶絲貿易商
本町3丁目46番地(649)
明治の横浜手彩色写真絵葉書

阿部太市 本町3丁目46番地「往昔毛利元就其子を戒めて曰く一矢折るべく十矢折るべからずと蓋衆力は強く容易に動かし難きに喩ふるなり阿部家は君の先代より生糸商を営むもの先代半七氏精力凡を抜き斯業を經營する年あり其子靑木金治阿部末之助阿部佐市氏及君を合せて兄弟四名を以て一團となり阿部合資會社を組織す同社は三十三年六月の創立に係り本舗は岩代福島市柳町六十六番地に在り支店は横濱市本町三丁目四十六番地に置く本社の經營する所は生糸の賣買玉絲其他製糸業にして支店は専ら生糸の輸出を業とし兩地相應じて斯業に貢献する所深く今や同商店の勢望愈隆しと云ふ君萬延元年十二月を以て福島市に生る半七氏の四男なり明治三十三年横濱に出で支店の主宰に任じ以て今日に至る君が斯業界の重鎮たるは人の能く知る所思ふに其幼より家業に浸染して見聞最廣く加ふるに其才氣の鋭發なる巧に商機を捉ふるに敏にして畫策常に當を得るに因るものか夫れ生糸は我か國產の首位を占め輸出貿易品の冠たる者其消長は實に國家經濟上等閑に観るべからざるものたるは論を俟たず随て斯業に従事するものに就きて其人材の愈多からんことを欲するは之れ濁り吾人の希望のみに止まらざるべし此間に在りて阿部合名會社の如き商勢隆々として旭日昇天の概あり能く斯業界の発展を圖りて止まざるものを見るは國家經濟の點に就きて最も世人の意を強うするところたらずんはあらず思ふて此に到れば吾人は益々阿部太市君の自重負荷を請はざるを得ざるなり古人曾て言なり曰く吾れ齡三十男兒一郷に關するあるを知る齡四十一國に關するあるを知ると君今や齢知命に近し赤此心を 體して愈々斯業に貢献する所ありて可なり冀くは君之を勉めよ」京浜実業家名鑑

蠶絲貿易商 阿部太市「兄弟内に鬩けども外侮を防ぐ棣蕚の情實に羨むべきなり、阿部太市君兄弟四人、同心協力先代の遺業を繼承して阿部合名會社を興し、蠶絲貿易商を營む實に明治卅三年六月なり、則ち本店は岩城國福島市柳町に置き、支店を橫濱本町に設く、是れ則ち君の主宰に係り專ら輸出を統管す、本支相呼應して互に業務を分擔し、着々として日に益々盛况を呈せり、由來生絲は我國主要の物産、開港以來終始一貫渝らざるは一に是れのみ、况んや東北七縣は産額最も多し、然れども君等の如き適才と機關とを一致するにあらざれば决して今日の進運を見る能はざりしならん、實に只君一家の繁榮に止まらず、我國力の上に於て至大の重荷を負ふもの、希くば國家の爲め奮勵努力を望むに切なるものなり、君や萬延元年十二月を以て郷里に生る、」横濱成功名誉鑑


シルク
横浜貿易新報

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