呉服店
神奈川町９番地
横浜 手彩色写真絵葉書 図鑑
山治吳服店 加藤治兵衛「昔し神奈川宿にて山治といへば古くからの吳服店なり、前代宗明翁は七十二の高齢で、今は令息治兵衛君に店舗を讓りて淸閑なる別邸を作りて安らかに晩年を樂まれつゝあり、翁は文久年間神奈川公使館のありし時代を盛に過せし人にて、身は呉服商なるを以て外人の假宅に出入して商賣せしともあり、米國軍艦の水先案内たりし紀州の彥藏とも懇意となりて亜米利加話を聞きしともあり、當時米艦サスクエンハンナ乘組の宣教師ビッチンガーといふもの只一人青木の濱より上陸して東上せしに、神奈川中は鼎の沸く如きの大騷動にて、今にも天下の大事にならむかと氣遣ひしを、今にして考ふれば馬鹿馬鹿しき限なりなど語られき、現主治兵衛君は溫厚なる人、業務に熱心さる傍ら同業組合の委員及神奈川銀行等の重役として活動されつゝあり、」横浜成功名誉鑑
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