神奈川縣案内誌 |
近江屋櫻井清二郎商店
糸販売
翁町2丁目16番地
明治の横浜手彩色写真絵葉書
バラン用メキ絲の發明者 櫻井清次郎 近江屋絲綿店「一事一物を考究し之を活用して世を益するは尋常人の能くする所にあらず、櫻井清次郎君長く絲商として深き經驗を有し、パテン加工用に高價なる舶來絲を仰ぐの不利益なるより、之に代るべき和製絲を作らんことに腐心し、潜心考慮の結果八年以前よりメキ絲と稱する新品を製造發賣するに至れり、同品は一見舶絲來品に劣らず盛にパテンに應用せられ、漸次刺繡にも使用するに至れり君は刺繡界に於て名聲籍甚、其刺繡用メキ絲、絹撚絲、組物ネクタイ等は需要者の賞讃を博し、各府縣の共進會、品評會及び博覽會等に出品して夫々賞牌を得たら、君は文久三年東京青山に生れ、六歲の時父君と共に當地に來り、十二歳にして本町岩田商店に入り、忠誠職に當り深く主人の信用を得、年三十三期滿ちて獨立し不老町一丁目に絲綿荒物商を開業せしが、間もなく不幸祝融氏の奇禍に會し、多年努力の結果一朝空しく灰燼に歸したれども、屈する所なく更に現所に雄大なる店舗を新築し、七八年前よりは盛んに輸出向の絲を製造し、業務甚だ盛大を極め居れり、君の今日の成功は蓋し君が天賦の禀才に負ふ所多しと雖も、また勉勵事に勤めしの結果なり、青年の士深く鑑むべきなり、」横濱成功名誉鑑
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