横浜開港五十年祭 式場
式場は展覧會手前を右に折れたる五號上屋にして館内中央の一隅に破風造りの式壇を設け綠葉と紅白の慢幕と各國旗等をもて周圍並に天井等を縦横に飾られたり。此式壇は式終了後餘興場に利用するものとす。會員休憩所及び午餐會場は展覧會前の六號上屋にして其海岸に面せる部分九百餘坪の廣場を會員休憩所にあて其左右両側に珈琲、紅茶、ビール、サイダー、等の摸擬店を設け舘外には折詰壜詰等の引替場及び楽隊席等を設けたり。その六號上屋内の南方を午餐會場及び來賓控所と定めありしが該二室は最も盛装善美を蓋し七百有除坪一面に花筵を敷詰め午餐會場の天井は紅白の布を張り青葉紐を縦横に吊し四圍には大鉢の樹竹を駢列し其上に藤の造花をあしらひたる其内に五百餘人を容るべき食卓を排置したるがその光景は美麗といふよりは寧ろ壮大を極めたりと云ふを適評とすべき乎。來賓控所は天井に大小無數の旗を吊し一隅には茶とアイスクリームを供する一室を設け他の一隅には各種の酒類供給店を設けありしが其意匠の善美を盡せると數奇を凝せる樣は言語筆紙に盡し難きを覺えたり。其他構內には日本赤十字社の救護所もあり。特設便所等もありて各來賓及び各會員等が終日の樂園とするに足るの設備に於て毫る遺憾あらざるべきを疑はざる也。」横浜開港五十年紀年帖
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