横浜開港五十年祭 山下町

横浜開港五十年祭 山下町
「山下町の祝祭 同町は言ふまでもなく内外人の雑居地なるが先づ各國領事館にては其國旗を支ふるに數十條の糸を以てし之れに無數の彩旗球燈を掲げ其各銀行會社等の諸團體に於ても奇抜なる趣向を凝して夫々祝意を表したり、尚ほ町内は四ヶ所の大辻に大國旗を建て壮大なる藤棚を作り前田橋通りに囃子屋䑓二ヶ所を設け又武内宿禰の花車を出だしたり、在留清國人は一層の奮發を爲し此時關帝廟の祭典を舉行し爆竹の響は天地を震撼せしめたり、百六十番地早川羅紗店にては店頭正面の入口に松葉にて飾りし額を掲げその額の中央に市の徽章を電燈にて現はし尚ほ軒先にも松薬をあしらひ其下に紅白の慢幕を引廻し無數の彩旗と提燈とを以つて之れを装飾したり、八十一番舘の同生號にては二階の屋根より支那提燈を四列に掛け列ねミルヴヮ商會にては國旗と電燈にて店頭全體を圍続せり、九十三番は紅黄の大提燈を三角形に掛けたるなぞ殊に目立ちたり、海岸通にては二十番グランドホテル其入口に牡丹の造花を一面に飾り附けたるとオリェンタルホテルが大國旗に提燈を以て埋めイリス商會が入口前に綠葉の柱を緑葉巻の紐にて張り渡しそれに紅白の球燈を點火せしもの等が大いに目立ちたり、尚ほ二十番グランドホテルにては舘員有志等が踊屋䑓なぞを引出だして附近を練り廻り頗る好評を博したり。」横浜開港五十年紀年帖

0 件のコメント:

コメントを投稿