ストラチャン商会 山下町

present-day impressions of Japan
ストロン商会 Strachan & Co.
生糸雑貨輸出入商
山下町71番地
横浜 手彩色写真絵葉書 図鑑

ストロン商會「是は蘇格蘭人ストロン氏の開設した商舘で、聞く所に依ると氏は横濱に於て輸出入業で相應の資産を作り、之を本國に轉用して大に膨脹させ、目下は倫敦の近郊に五千エーカーの農園を設け、悠々として農業生活を営んで居るそうだ、現時本店は倫敦に、支店が横濱、神戸に在るが何れも今より四十年前に創立せられたので、其他代理店は香港、上海、米國、南阿、印度等に散在してゐる、現在の登記資本額は五十萬圓であるが、尠くも二百萬圓位の流動資本を注入してあるとの評判、組織は株式會社であるが株主は八九名だけで其他の異分子を容れて居らぬ、横濱支店は初め六十三番舘に在つたが、當時は盛に生絲を輸出して一時は生絲商舘として一方の牛耳を執つたそうであるが、何でも此の時分大に儲けたのが本舘の基礎を爲したらしい。目下の営業種目は輸出で羽二重其他絹物製作品、雑貨等を取扱ひ、輸入では棉花、羊毛、肥料、米、金属類、機械、毛織などを最も盛に取り扱つてをるストロン氏は倫敦に於ける富豪の一人で、香港上海銀行の大株主であるが、開業以來終始一貫堅實なる営業方針を把つて來たから、随つて此商舘の歴史としては波瀾曲折の頁はなく、一言之を蔽へば徐々に大きくなつたといふ外を出でぬ、併し本年の二月から新に東京銀座に其代理店を設けて是れに機械部を獨立させ、併せてローヤル火災保険株式會社、ノーザン火災保険株式會社の代理店を兼営せしむることになつて、津久居平右衛門氏が其主任となつて、多年大倉組に勤めた敏腕家を招いて、東京に突進を試みた一事は注目に値する施設である、支店支配人スチュワード氏は本年一月新任し寡言温厚の人物で輸出部の主任沼田龜三氏是亦商舘員中の辣腕家との評判ありと聞いた、ストロンは商舘の基礎営業の範囲、及其沿革等何れの方から見ても極めて安固のものと察するのである。」實業之横浜

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